今年は、弁理士志願者総数が7528名、前年比−402名でした。合格基準点の最小ラインが39点に設定されたことから、昨年並の問題レベルであっても、自然に合格者数が減る傾向にあると思います。
その点、今年の問題は、条文ベースで勉強を積んだ人、条文をしっかり覚えて理解している人にはさほど難しいとは感じない問題だったと思います。
一方、「過去問ベース」で勉強を積み、条文の暗記や理解に向き合わなかった人、条文の理解を深める意識を持たず、ただ、問題を解くことに精通した人にとっては、判断を迷う枝が頻発したことでしょう。
今年の出題傾向は大きく3つの特徴があります。
1.「いくつあるか」問題の増加
昨年の「いくつあるか問題」の出題数は、全60問中21問でしたが、今年は32問でした。
特許法は、20問中11問、
意匠法は、10問中9問、
商標法は、10問中4問、がそれぞれ「いくつあるか問題」です。
この問題の特徴は、1枝でも間違えると不正解になるところです。
通常の問題であれば、明らかに○×の判断が付けば、判断に迷う枝をパスすることができますが、「いくつあるか問題」で、それはできません。
すなわち、5枝全部正解を出せないとならず、正確な知識と判断が要求されます。
特にPCTにおいてもいくつあるか問題が2問出ていますので、今年は「正確な理解をしているか」を厳密に図ろうとする出題者の姿勢が見受けられます。
2.条文を組み合わせて正答を導く問題の増加
単にある条文のみで判断するのではなく、関連する条文を絡めて正解を出す問題が増えました。すなわち、従来より実務的な思考センスが要求されているように思えます。
3.過去問のようであって、過去問ではない問題の増加
過去問の似たような問題をベースに、複数の規定を絡めた問題や、2つの条文の関係を理解していないと誤解する問題、できる/できない/しなければならない、といった区別を正確に覚えていなければ迷う問題などが増えています。
このように見ていくと、何度も解いて答えまで覚えられるような過去問ベースの勉強では、太刀打ち出来ない状況になってきたようです。この傾向が今後も続くのであれば、単に過去問をやりこんでも、短答合格に近づくどころか遠のく可能性すらあるのではないでしょうか。また、数多くの短答模試を受ければ合格が保証されるという考え方も捨てるべきでしょう。
条文を理解する・条文を使える、そのために必要最低限のことは暗記する。それが合格者の備えるべき資質であると出題者側が明確に示してきた試験であったように思われます。
受験生の皆さんにとって参考となれば幸いです。
さて、自己採点で39点以上であった方は、速やかに論文式試験対策に移行しましょう。ここから先は時間との戦いです。漫然としたこれまでの復習では運が悪ければ手痛い目をみることになります。合格に向けて、今の自分に足りない知識、埋めなければならない論文作成上の弱点などを正確に見極めましょう。その上で、必要な学習量・範囲を把握し要領のよい試験対策をしてください。
頑張ってください。全力で応援します。
宗像孝志
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