望ゼミの講師陣は何年も前から、弁理士有志による口述練習会において、口述模擬問題の検討・作成だけでなく、数多くの受験生を対象として模擬試験官を担当してきているという実績を有しています。
しかし、望ゼミは、私ゼミとして運営しているため、ゼミ生以外の受験生を広く対象とする有料の口述模試は予定していません。但し、今年はゼミ生から3名の論文合格者を出すことができましたので、ゼミ生を対象とした口述特訓練習は行う方向です。
さて、「口述試験に対する方針」として、望ゼミの考えをお答えします。
そもそも、弁理士試験は、弁理士として必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定するための試験であり、口述試験は採点基準をA、B、Cのゾーン方式とし、合格基準はC評価の科目が2科目以上ないこと、とされています。このため、口述試験では、2つの要素が試されることになります。
@コミュニケーション能力
弁理士は、出願人を代理して特許庁に対して手続を行うことが主要な業務ですから、出願人と特許庁の間に立ったコミュニケーションを進める能力が不可欠とされます。このため、面接試験では、まず、試験官とのコミュニケーション能力が求められます。
試験の現場では、単純に暗記している知識を一方的に述べるだけでは合格することはできません。試験官の質問を正しく理解して、質問に対して回答をすることが必要です。そして、試験官の視点を変えた質問に対し、反射的に法律論理をもって対処する能力を身に付けるには、付け焼刃でなく普段からのディスカッション形式での学習が必要です。望ゼミが、「口頭で述べる力を養成する」ことをコンセプトの1つとしているのは、このためです。
しかし、これから短期間でディスカッション形式の学習を行うことはできませんから、それを補完するために、口述模試や練習会を利用してください。模試や練習会に参加する目的は、知識を獲得することでも、予想問題を手に入れることでもありません。人生で「面接」を受けることは、さほど多くないのが普通です。自分がどの程度のコミュニケーション能力を有しているかを客観的に評価して、自分の弱点を改善することが口述模試や練習会の目的なのです。
A基本的知識と現場応用力
最近の口述試験は、急速に知識重視に移行しています。以前のように論文合格者が少ない時代には、知識よりコミュニケーション能力を問われていたため、口述試験で落ちる人数はごく限られていました。
しかし、大量に論文合格者が出る現代では、科目免除者も多いため、口述試験は知識を基準として合否を判定するようになっています。言い換えれば、「短答式試験が口述という形で再度行われている」と理解することができます。このため、口述対策は、条文を中心とした基本的知識の再確認が最も効果的です。単純に過去の口述問題を覚えるのではなく、条文を理解して、過去問とは違った視点からの質問にも回答できるよう準備することが必要なのです。